2009年6月7日日曜日

【善き人のためのソナタ】

【善き人のためのソナタ】
原題:Das Leben der Anderen
2006年ドイツ映画
これも飛行機の中で観た映画。
でも、一番いいところで着陸態勢に入ってしまい、ツタヤで借りなおして観た。
日本の題名は、【善き人のためのソナタ】だが、原題の【Das Leben der Anderen】の意味は、【他人の人生】。
英語の題名の【The Lives of Others】という意味だ。

この映画の中で、たしか「この音楽を聴いてしまったら悪人ではいられない」との台詞(せりふ)が印象的なので、この音楽を聴いたがために、主人公の情報局大尉が改心してしまったと単純に考えるのは間違い。

あくまでも、(盗聴という行為を通して)他人の人生に介入したことによって、改心していったというのが正しい観方であろう。

いい映画だ。

俳優の演技がいい。

演技によって真理を表現するという、基本が出来ている。

東ドイツの自国民を監視するシステムを描いている。

なかなか巧妙な台本である。

ベルリンの壁が崩壊したのが1989年。

この映画の製作が2006年。

あの国のシステムは何だったのかを、ドイツ人自身が整理出来るまで17年の期間が必要だったのだろ
う。

人間の弱さ、恐怖心、猜疑心などを、巧妙に利用して自由を徹底的に奪っていったシステム。

この怖さが、上手く描かれている。

そのような恐怖社会を作り上げたのが、同じドイツ人だったことを思うと、歴史の皮肉を感じる。

そして、これはドイツ人だけの問題だったのではなく、我々人間の問題であることに、この映画を観た人
は必ず思い至るのである。

(余談として、主演男優がこの翌年に癌で死亡したことを知った。54歳だったという。)

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