・・・・・・・・っということで、またこの季節がめぐってきた。
地軸のわずかな傾きのせいで、毎年決まってこの時期に、ヒマラヤから極東の島国まで、雲のハイウェイが形成される。
雲は太陽の顔を覆い、ときに太い滝となり、ときに細い霧雨になって、地上にある全てのものを濡らす。
たとえそれが生きていようと、死んでいようと、あまねく差別なく濡らす。
排ガスで汚れたビルの側壁、蛙の眉間、森に置かれた彫刻、池の鯉、法隆寺の避雷針、垂れ下がった国旗、薄くなった私の頭皮を。
リウマチ患者をいたぶり、私のヒザに傘を押し付け、フェラガモは靴箱で出番を失う。
そして両生類を除く全ての生き物の心を憂鬱にする。
憂鬱、憂鬱、鬱、鬱、鬱・・・・・・
この季節の中で、島民たちは思い出す。
彼らが彼ら自身として、自分たちを特徴付けているのは、
・・・・・この雨のおかげだと。
end.
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