・・・・・・・っということで、変な夢の続き。
平坦な無人島に7人の男が乗ったボートが漂着した。
7人とは、アメリカ人、中国人、フランス人、イラン人、ロシア人、北朝鮮人、そして日本人。
もちろん雰囲気は最悪であった。
それでも、誰かをリーダーにしなければならないのは、共通の認識であった。
誰をリーダーにするか、それだけで揉めに揉めた。
大声で各々が最適任だと喚(わめ)きあった。
突然、いつもは静かな日本人が手を上げ、自分をリーダーにするよう強く主張した。
それが、生き残るための唯一の選択肢であると。
皆は、鼻でせせら笑って、彼の意見を無視した。
論争は果てしなく続いた。
日本人は、一人東のほうに去っていった。
・・・・・・・
1年後、残った6人は無残な状態だった。
飢えて、着るものはボロボロ。
それでもいがみ合っていた。
ある日突然、彼らは東に去っていった日本人のことを思い出し、尋ねてみることにした。
3時間ほどジャングルの細い道を歩いたところで視界が開けた。
彼らはその光景を見て唖然とした。
広くはないが立派な畑があり、コテージ風の小屋が建っていた。
井戸が掘られ、家畜も飼われていた。
久しぶりに会った日本人は、こざっぱりした服装で、笑みをたたえながら彼らを迎えた。
彼らに食料を与え、風呂に入ることを勧めた。
・・・・・・・・・
一息ついた彼らの中の一人に、ここを日本人から奪い取ろうとそそのかす者がいた。
(何国人とは言わないが。)
それを察した日本人は言った。
「1年前に私が言ったことを繰り返します。
全員が生き残るためには私をリーダーにすること。
それが、生き残るための唯一の選択肢であること。」
不承不承ではあったが、とりあえず、日本人の言うことを聞くことにした。
腹の中では、いつでもぶっ殺してやると思いながら。
・・・・・・・・・・
そして5年後。
島は隅々まで開拓され、畑、牧場、果樹園が広がる豊かな土地に変貌していた。
ちょっとした娯楽場なんかも建っていて、そこには夕暮れになると自家製ビールを飲みながら和気あいあいと語らう男たちの姿があった。
驚いたことに、共通語として日本語が使われていた。
彼らは日本人のことを、尊敬の意味をこめて「先生」と呼んでいた。
では、日本人は何をしたのであろう。
もちろん口ではなく、手を動かす労働の大切さを教えた。
それはすぐに成果として現れた。
だが、一番重要なのは、「精神」の教育であった。
徹底的に「日本の精神文化」を彼らに教えたのである。
日本の精神文化とは、わび・さび、無常、恥、義理・人情、恩、間、そして和である。
これらの精神的概念は、彼らには全く欠けていたものである。
・・・・・・・・・・
こうして、地球上に唯一つ、完璧といっていいほどの平和な理想郷が誕生したのである。
・・・・・・・・・・
えッ?
その島はどこにあるのかだって?
残念ながら、消えちゃったんですよ。
地球温暖化によって海面が上昇し、水没しちゃったんですね。
もちろん、島の住民たちも・・・・・・。
・・
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