2009年7月11日土曜日

無人島(その9)

・・・・・・・っということで、変な夢の続き。

平坦な無人島に7人の男が乗ったボートが漂着した。

7人とは、アメリカ人、中国人、フランス人、イラン人、ロシア人、北朝鮮人、そして日本人。

もちろん雰囲気は最悪であった。

それでも、誰かをリーダーにしなければならないのは、共通の認識であった。

誰をリーダーにするか、それだけで揉めに揉めた。

大声で各々が最適任だと喚(わめ)きあった。

突然、いつもは静かな日本人が手を上げ、自分をリーダーにするよう強く主張した。

それが、生き残るための唯一の選択肢であると。

皆は、鼻でせせら笑って、彼の意見を無視した。

論争は果てしなく続いた。

日本人は、一人東のほうに去っていった。

・・・・・・・

1年後、残った6人は無残な状態だった。

飢えて、着るものはボロボロ。

それでもいがみ合っていた。

ある日突然、彼らは東に去っていった日本人のことを思い出し、尋ねてみることにした。

3時間ほどジャングルの細い道を歩いたところで視界が開けた。

彼らはその光景を見て唖然とした。

広くはないが立派な畑があり、コテージ風の小屋が建っていた。

井戸が掘られ、家畜も飼われていた。

久しぶりに会った日本人は、こざっぱりした服装で、笑みをたたえながら彼らを迎えた。

彼らに食料を与え、風呂に入ることを勧めた。

・・・・・・・・・

一息ついた彼らの中の一人に、ここを日本人から奪い取ろうとそそのかす者がいた。
(何国人とは言わないが。)

それを察した日本人は言った。

「1年前に私が言ったことを繰り返します。

全員が生き残るためには私をリーダーにすること。

それが、生き残るための唯一の選択肢であること。」

不承不承ではあったが、とりあえず、日本人の言うことを聞くことにした。

腹の中では、いつでもぶっ殺してやると思いながら。

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そして5年後。

島は隅々まで開拓され、畑、牧場、果樹園が広がる豊かな土地に変貌していた。

ちょっとした娯楽場なんかも建っていて、そこには夕暮れになると自家製ビールを飲みながら和気あいあいと語らう男たちの姿があった。

驚いたことに、共通語として日本語が使われていた。

彼らは日本人のことを、尊敬の意味をこめて「先生」と呼んでいた。

では、日本人は何をしたのであろう。

もちろん口ではなく、手を動かす労働の大切さを教えた。

それはすぐに成果として現れた。

だが、一番重要なのは、「精神」の教育であった。

徹底的に「日本の精神文化」を彼らに教えたのである。

日本の精神文化とは、わび・さび、無常、恥、義理・人情、恩、間、そして和である。

これらの精神的概念は、彼らには全く欠けていたものである。

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こうして、地球上に唯一つ、完璧といっていいほどの平和な理想郷が誕生したのである。

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えッ?

その島はどこにあるのかだって?

残念ながら、消えちゃったんですよ。

地球温暖化によって海面が上昇し、水没しちゃったんですね。

もちろん、島の住民たちも・・・・・・。




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