2009年7月2日木曜日

救命ボート

・・・・・・っということで、変な夢を見ました。

太平洋の真ん中で、船が沈んだ。

かろうじて脱出した数名が救命ボートに乗っている。

助かった人たちの中には、船員は含まれていなかった。

溺れずに済んだものの、今後どうすればいいか途方にくれてしまった。

誰かをリーダーに選ばなければという話になった。

生存者の中に、初老の男性がいた。

ある婦人が、この人は昔商船に乗っていたと聞いたことがあると言った。

他に、体格のいい若者が何人かいたけれど、リーダーとしてはその男しかいなかった。

しかし、その男は皆からの要請をかたくなに断った。

陸地から数千海里離れている上、船が通りかかる確率は万に一つもなかった。

男はリーダーになることは、体力を消耗することだと知っていた。

もう歳だし、静かに死にたいと思っていた。

しかし、男の目から見ると、あまりにも海を知らない乗客ばかりだった。

どちらが北か南さえも知らない。

男は腹を決めて、静かに語りだした。

皆に、かなり厳しい状況であること。

そして、長期戦になる覚悟をする必要があること。

リーダーを引き受けてもいいが、次の条件は絶対に守ること。

どんな状況になっても絶望しないこと。

極限状態で一番避けなければならないことは、

「絶望」であることを知って欲しいと言った。

希望を持てとは言わないが、絶望だけはしてはいけないと。

そして、死ぬ可能性もあることを正直に伝えた。

最後に、「人間として一番大事なことは、死に際して【威厳】を保つことでしょ?」

と言ったときは、全員が静かに頷いた。

・・・・・・・・・・・ それからというもの、非常食や水を公平に配分したり、

魚の釣り方を教えたり、帆走の仕方を教えたり、

船を見かけたときどう合図を送るかとか、

男は皆を励まし続けた。

しかし、最初に死んだのはその男であった。

・・・・・・・・・・・

その後、救命ボートで何が起きたのかは分からない。

数ヵ月後、漂流しているボートが発見されたが、

そこには誰も乗っていなかった。



・・

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