・・・・・・っということで、変な夢を見ました。
太平洋の真ん中で、船が沈んだ。
かろうじて脱出した数名が救命ボートに乗っている。
助かった人たちの中には、船員は含まれていなかった。
溺れずに済んだものの、今後どうすればいいか途方にくれてしまった。
誰かをリーダーに選ばなければという話になった。
生存者の中に、初老の男性がいた。
ある婦人が、この人は昔商船に乗っていたと聞いたことがあると言った。
他に、体格のいい若者が何人かいたけれど、リーダーとしてはその男しかいなかった。
しかし、その男は皆からの要請をかたくなに断った。
陸地から数千海里離れている上、船が通りかかる確率は万に一つもなかった。
男はリーダーになることは、体力を消耗することだと知っていた。
もう歳だし、静かに死にたいと思っていた。
しかし、男の目から見ると、あまりにも海を知らない乗客ばかりだった。
どちらが北か南さえも知らない。
男は腹を決めて、静かに語りだした。
皆に、かなり厳しい状況であること。
そして、長期戦になる覚悟をする必要があること。
リーダーを引き受けてもいいが、次の条件は絶対に守ること。
どんな状況になっても絶望しないこと。
極限状態で一番避けなければならないことは、
「絶望」であることを知って欲しいと言った。
希望を持てとは言わないが、絶望だけはしてはいけないと。
そして、死ぬ可能性もあることを正直に伝えた。
最後に、「人間として一番大事なことは、死に際して【威厳】を保つことでしょ?」
と言ったときは、全員が静かに頷いた。
・・・・・・・・・・・ それからというもの、非常食や水を公平に配分したり、
魚の釣り方を教えたり、帆走の仕方を教えたり、
船を見かけたときどう合図を送るかとか、
男は皆を励まし続けた。
しかし、最初に死んだのはその男であった。
・・・・・・・・・・・
その後、救命ボートで何が起きたのかは分からない。
数ヵ月後、漂流しているボートが発見されたが、
そこには誰も乗っていなかった。
・・
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