・・・・・・っということで、変な夢の続き。
その島に流れ着いてから、男は入り江に小屋を建てた。
しばらく経つと、一匹のイルカが遊びに来るようになった。
毎朝、目覚まし代わりにイルカの声で起こされ、一日が始まる。
男がイルカに触れても、全く逃げようともしない。
逆に、体を摺り寄せてくる。
イルカは男のために、波打ち際まで魚を追い立てることさえした。
一日の殆どをイルカと過ごす毎日が続いた。
あるとき、イルカの言葉が分かるような気がした。
イルカの声を真似て男が声を出すと、イルカが同じような声で返事をした。
そして、何年かが経過した。
男は、ついにイルカと会話することが出来るようになった。
「これは大発見だぞ!!
これを人類のために、残さなければならない!!」
・・・と男は考えた。
そのときから、イルカ語辞書を書き始めた。
男は独自の発音記号を発明し、簡単な挨拶から、複雑な会話までどんどん書き進めた。
イルカ辞書はかなりの分厚いものになった。
他のイルカも入り江に来るようになり、男はイルカたちと何不自由なく会話が出来るまで上達した。
イルカが冗談好きであることも分かった。
・・・・・・
しかし、島にある彼の小屋が発見されたのは、彼の死んだずっと後だった。
小屋に入ると、白骨化した彼の遺体があり、彼の手は分厚い本の上に置かれていた。
その本のページには、左に言葉が書いてあり、右には不思議な記号が書かれていた。
当然のことながら、発見者はこの本の意味が全く分からなかった。
もちろんその価値についても。
こうして、人類にとっての重大な発見も、誰にも知られずに消えていったのであった。
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