2009年7月10日金曜日

無人島(その8)

・・・・・・っということで、変な夢の続き。

その島に流れ着いてから、男は入り江に小屋を建てた。

しばらく経つと、一匹のイルカが遊びに来るようになった。

毎朝、目覚まし代わりにイルカの声で起こされ、一日が始まる。

男がイルカに触れても、全く逃げようともしない。

逆に、体を摺り寄せてくる。

イルカは男のために、波打ち際まで魚を追い立てることさえした。

一日の殆どをイルカと過ごす毎日が続いた。

あるとき、イルカの言葉が分かるような気がした。

イルカの声を真似て男が声を出すと、イルカが同じような声で返事をした。

そして、何年かが経過した。

男は、ついにイルカと会話することが出来るようになった。

「これは大発見だぞ!!

これを人類のために、残さなければならない!!」

・・・と男は考えた。

そのときから、イルカ語辞書を書き始めた。

男は独自の発音記号を発明し、簡単な挨拶から、複雑な会話までどんどん書き進めた。

イルカ辞書はかなりの分厚いものになった。

他のイルカも入り江に来るようになり、男はイルカたちと何不自由なく会話が出来るまで上達した。

イルカが冗談好きであることも分かった。

・・・・・・

しかし、島にある彼の小屋が発見されたのは、彼の死んだずっと後だった。

小屋に入ると、白骨化した彼の遺体があり、彼の手は分厚い本の上に置かれていた。

その本のページには、左に言葉が書いてあり、右には不思議な記号が書かれていた。

当然のことながら、発見者はこの本の意味が全く分からなかった。

もちろんその価値についても。

こうして、人類にとっての重大な発見も、誰にも知られずに消えていったのであった。






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