2009年10月19日月曜日

心の風邪

・・・・・・・っということで、引越ししてきた同じフロアに、むかし部下だった男がいる。

結構優秀な男なんだが、「心の風邪」を引いてしまい、何故かぼくの部に回されてきた。

(こういうケースって多いんですよ、ホント。ぼくんところはリハビリ専門じゃないって。)

移ってきた頃は、円形脱毛症にかかっていて、見るからに参っているようだった。

でも、新幹線通勤を許可してやったり、生活面でも色々と便宜を図ってやった。

もちろん、酒なんか飲ませて精神的なリハビリをした結果、どうにか「使える」ようになった。

そこで、遅れていた出世を取り戻させてやるために、彼の役職を一つ上に上げてやった。

もちろん、彼は感謝していた。

・・・・・・・っと、

もう一人、ぼくの部下に、彼の先輩に当たる男が回されてきた。

この男も問題児で、宗教に凝っていて、仕事に影響が出るくらいのめりこんでいた。

しょっぱなに、信仰の自由は認めるが、仕事に影響が出たときは、即刻クビだと言い渡した。

彼も、もともと優秀な男だったので、改心してよく働くようになった。

休みの日にも、誰にも知られないように出社していることも知っていた。

そこで、彼も一階級上に上げてやる事にした。

(この辺が、ぼくの甘いところなんだけど。)

そこで、予想外のことが起きた。

心の風邪を引いた方が、ぼくの決定した人事に不満を持ったのだ。

実は、彼らはお互いライバル視していて、犬猿の仲だったのだ。

このことをぼくは知っていたが、まさか先輩が昇級するのに、

後輩がクレームを付けるなんて思いもよらなかった。

その恨みが、なぜか僕の方に向いてきたのだ。

本人は、ぼくによって昇級させてもらったにも関わらずだ。

マア、そこんところが病人の病人たる所以(ゆえん)なのだが、

本人は転属願いを出して、サッサと移動してしまった。

・・・・・・

しばらくして、一度だけ、飲み屋で近くの席に彼が座ったことがある。

完全に僕の事を無視し、まだ逆恨みしていることが分かった。

その後は、風のウワサに、彼の心の病が再発して、再度髪の毛が抜けていったなんてことが時折聞こえてくる程度だった。・・・・・・

そして、今回の引越しだ。

髪の毛は見る影もなく薄くなり、殆ど白髪状態の彼が、机にボーっと座っている。

もう10年近く経つが、彼の階級は昇級させてやったときのままだ。

ずっと若い上司と席を並べている。

その若い上司とは、女性である。

ぼくのことを無視しているのは相変わらずだが、彼がみんなからも無視されているのは明らかだった。


・・・・・・

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