・・・・・・・っということで、話題が無くなったら昔のことを書けるのが老人の特権です。
ぼくは大学のとき、学校の寮に入って、4年間を過ごした。
都内にあった学校なので、自宅からは全然問題なく通学出来たにも関わらずである。
ぼくは小さいときから人見知りで、集団生活が苦手だったし大嫌いだった。
大勢でガヤガヤするのは性に合わず、一人のほうが断然好きだった。
でも、ぼくなりに考えたんです。
「この性格では、社会で生きて行けない」と。
だから、敢えてプライバシーの無い寮に入ることにしたのです。
人間性を変えようと思って。
・・・・・・
ところが、昨日書いたように初日から躓いた。
寮は汚い。
年がら年中タバコを吸いながら酒ばかり飲んでいる。
住人はガサツで、デリカシーに欠ける。
基本4人部屋で、プライバシーは絶対に守られない。
酒を飲むかマージャンするか、あるいはその両方か。
先輩が不意に女を連れ込んだときは、熟睡していても、他の部屋に気を利かせて移動しなければならない。
そんなことは最初から分かっていた。
逆にそういうことに馴染む自分を夢見ていたはずだったじゃないか。
でも、出来なかったのですよね。
運良く(悪く?)ぼくの入った部屋の主(4年生ね)の青木君は「人格者」だった。
ぼくが異質の人間であることを見抜き、ぼくの性格を尊重してくれた。
事あるごとに、ぼくを庇ってくれたのである。
彼のおかげで、ぼくの「人間改造計画」は頓挫してしまった。
・・・・っというのはウソで、ぼくがみんなの懐に飛び込まずにいただけなんですけれどね。
部屋にはもう一人、3年生の先輩がいた。
甲斐君。
彼は、学生運動の闘士であった。
マルクスの本を愛読し、よくヘルメットとタオルと、濃いサングラスを持って出かけ、殆ど部屋に居つかなかった。
彼は兵隊ではなく、理論武装のほうを担当していた。
一度彼の「演説」を聞いたことがあるが、それはそれは大したものだった。
ぼくも活動に身を捧げようと、一瞬思ったくらいだ。
・・・・・・
長くなりそうなので、つづく。
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