2008年7月8日火曜日

妻の気持ち

・・・・・・いうことで、女はスタジオの左奥に若干遅れて入った。

スタジオ内はかなり混んでいたが、左最前列に頑張っている彼女の夫を見つけるのにさほど時間はかからなかった。

大して似合いもしないブカブカのパンツを履いて、粋がっている。
全く、いい歳をして・・・・・・っと、思う。

レッスンが始まって、夫の動きを見ていると、やたら手を抜いた動きをしている。
周囲の人達は、真面目に動いているのに。
ホントーに恥ずかしい。
夫婦であることは知られたくない。
絶対に。

レッスンの後、マシーンジムで夫を見かけたが、完全に無視した。

帰宅し、夕食の支度をして、しばらく夫の帰りを待っていたが、なかなか帰って来ない。
娘と二人で、先に食事を済ませてしまった。
その日、夫はいつもより大分遅く帰って来た。
手には、缶ビールの袋を提げていた。
いつものことだ。

夕飯のおかずを肴に、ビールを飲んでいる夫が、
「今日は、3本も立て続けにエアロビクスに参加しちゃったよ。」
・・・・・・っと言った。

彼女はムッとしながら、「そうでしょうね、アレだけ手を抜いていたら、3本出ても疲れないでしょうね。」

「エッ?そんな風に見えた?最近ヒザが痛いので、かばってるんだヨ~」っと夫。

「もし私がインストラクターだったら、気分を害するでしょうねッ!!」

この言葉には、夫も参ったらしい。
「ソーかなァ~。そんな風に見えるかなァ~」
っと、何度も繰り返した。

女は、前日の日曜日にフィットネスクラブに行こうとする夫を、ムリヤリ不忍池の蓮の花を見につき合わせたのだった。
結局花は咲いておらず無駄足に終わったのだが、夫はその腹いせに3本もエアロビクスに出たのではないかと、ちょっと疑っていた。

「全く、エアロビクスのことばかり考えているのだから・・・・・・」
女は不満を持っていた。

何気なく、長女が地方都市の支店に転勤になるので、明日引っ越し屋が来ると、夫に伝えた。

「フーン」っと言ったまま、夫はパソコンにかがみ込んで画面を見たままである。
女は、これも気に食わない。
なにやら、ブログというものをやっていて、これに夢中のようなのだ。

「アッ、それなら○○チャン(長女の名前)は、明日の晩は家に泊まることになるんだなァ。」
・・・・・・っと、思い出したように夫がつぶやいた。

実は、女は地方都市に転勤になる長女を手伝うために、新幹線の切符を買っているのだ。
そのために、2日間の休暇届を会社に出しているのだ。
夫はそのことを知っているにも拘らず、自分が一緒に行くなどとは一言も言い出さない。
尤も、そのために夫にも休暇をとってくれとまでは思っていないが。

本当に、思いやりのない男だと女はつくづく思った。
どうせ、明日はエアロビクスの上級クラスに出るつもりなんだろう。

このあいだ、「あなたはエアロビクス命なんだから。」
・・・・・・っと、イヤミを言ってやったのに、何とも感じていないのだ、この男は。

最初に夫を、フィットネスクラブに誘ったのは、自分であるのだ。
飲むことしか興味のなかった夫が、新しいこと熱中しているのを見て、最初はうれしく思っていたのは事実だ。
でも、これほどエアロビクス中心の生活になるとは、思ってもみなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女の不満は、ますますつのるばかりであった。

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