・・・・・・・っということで、恥ずかしながら「井上ひさし」の本を初めて読んだ。
【井上ひさしの作文教室】という本なのだが。
今更ながら、惜しい人を亡くした。
いつも思うんですけど、死というものは残酷なものだなあと。
だって、死によってその人が一生かかって蓄えたものが無に帰するのだから。
彼の頭にあった「日本語」に関する膨大な知識は、もう二度と戻ってこない。
確かに、彼は沢山の本や、脚本を書くことによって、一般の人より沢山知識を残した。
だけれども、全部残したわけではない。
彼の長期記憶(これは本の中に出てきた言葉)が、彼が書くことによって化学反応を起こし、
彼自身も思っていなかったことが次々と文章の形で細胞分裂する。
その醍醐味を読者は永遠に失ってしまった。
文学者の彼ばかりではない。
一般の市井の人々たちだって同じだ。
人間が一生かかって蓄えるメモリーは膨大なものだ。
有意義なメモリーばかりではない。
楽しい思い出、辛い思い出、成功の思い出、失敗の思い出、甘い思い出、苦い思い出・・・・・
そして、愛の思い出、憎しみの思い出。
その人の人格を作り上げた全ての思い出。
それを死は一瞬のうちに奪い去るのだ。
なんとも虚しい。
惜しい人を亡くした。
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