・・・・・・・っということで、夫婦の形(その4)
その男女は大学で知り合い、お互いの両親も認める許婚(いいなずけ)同士だった。
女性がアメリカに語学留学したときも、男が後から追いかけて行ったくらい仲が良かった。
男は帰国して就職し、女性はそのままアメリカに留まった。
しばらくして、男の元に女性から手紙が届き、留学先で別の日本人男性と結婚したことを知らされた。
相手は、お金持ちのお坊ちゃまだった。
・・・・・・
男はその後、ずっと独身のままだった。
お見合いの話が来ても、全て断っていた。
30歳の半ばを過ぎて、会社の者たちはようやく彼が結婚したことを知らされた。
相手は、あの彼女だった。
彼は、彼女が離婚する可能性を信じ、ずっと待っていたのだ。
・・・・・・
二人の間には、子供が授からなかった。
50歳近くになって、奥さんがNPO活動にのめり込むようになった。
フィリピンで日本人男性が現地で産ませた子供達を、逃げ帰ってきた男どもに認知させるという活動だ。
殆ど無給どころか、こちらから持ち出しの、ボランティアのような活動だ。
夫を日本に置き去りにして、その女性はもう半年もマニラで奉仕活動に没頭している。
彼女の母親は、申し訳なさそうに彼に言った:
「あの子はねぇ、昔から、男の子のような性格なのよ」
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