2010年4月28日水曜日

夫婦の形(その3)

・・・・・・・っということで、夫婦の形(その3)

その男は、ある世界では名門といわれる家系であった。

当然のように、才媛を妻として迎えた。

とても綺麗な人で、夫の風貌にはもったいないくらいの女性だった。

仕事上でちょっとした事故を起こし、彼は困難な立場に追い込まれたことがある。

そんな中でも、奥さんは夫に良く尽くし、陰で家庭を支えた。

傍目には、とても仲がいい夫婦に見えた。

ところが、なかなか子供に恵まれなかった。

医者に診てもらったが、どっちが原因か判らなかった。

それでも、奥さんは不妊治療を何度か受けさせられた。

もちろん夫の両親から、暗黙の、時には露骨なプレッシャーを受けるようになった。

奥さんは、「そこまでしたくない」と治療を途中で放棄した。

程なく、二人は離婚してしまった。

離婚後まもなく、その男は両親が紹介した女性と再婚した。

今度は、ちょっと軽いノリの適齢期を過ぎた女性だった。

すぐに男の子が生まれた。

その男は言った。

「ネッ!ぼくが原因じゃなかったでしょ?」

・・・・・・




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