2007年5月2日水曜日

腰痛談義

ぎっくり腰の場合、安静にしていればいつかは直るものなのだが、椎間板ヘルニアは医学的に見てそうではない。
整形外科は物理的に直そうとする。
1)背骨を引っ張る。
私の経験ではこれは無意味だ。飛び出た椎間板が牽引することによって引っ込むとは考えられない。周囲の萎縮した筋肉を伸ばすことによって、一時的に気持ちが良くなる程度の効果は期待できるが。
2)麻酔注射でブロックする。
これは効果覿面だ。一歩も動けない状態で担ぎ込まれても、歩いて出て行くことが出来る。
私の場合、自宅で激痛にどうしても耐えられなくなり、当時神田にあった会社の近くの整形外科医の自宅に電話して助けを求めたことがある。それも夜中だ。何とその医者は看護婦の経験がある奥さんを連れて、自ら自家用車を運転して都心を抜けて反対側に位置する私の自宅まで、駆けつけてきてくれた。そのとき麻酔注射を打ってくれたので助かった。本当にもう30年近く前の話だが、すごい医者もいたものだ。本当に感謝している。
だが、この麻酔も根本治療にはならないのはお分かりと思う。
3)手術でヘルニア部を切除する。
私の症状では当然これしか方法はないと言われた。(今はレーザー治療とかあるらしいが。)危険が伴う上、治療後の完治度(感?)に差があると言われた。親に貰った体にメスを入れるなどもっての他、という古い道徳観念を持っている私にはどうしても踏み切れなかった。それに、どうも説明に納得がいかなかった。

そこで、民間治療に活路を求めた。
1)針治療。
これはダメだった。私のあまりに酷い激痛を押えることができずに、往診に来てくれた鍼灸師は治療費は要らないとまで言った。
2)カイロプラクティク
これは、アメリカでもてはやされている近代的な理論に基づいているとのふれこみだったが、私の症状を和らげるどころか、さらに悪化させてしまった。私は、あまりに酷くなったので、その場で救急車を呼んでくれと頼んだが、そんなことをしたら彼らが営業を続けていくことは不可能になっただろう。彼らは、私に早くここから立ち去ってくれと言う態度だった。這うようにして、その治療室から出て行ったが、外で待っていた顧客はその姿を見てどう思っただろう。
3)整体。
自分なりに納得できる考えは、体のバランスが崩れ、その歪が腰に集中して腰痛が起きるというもの。バランスを戻せば腰痛は消える。この説明は理論的に抵抗なく理解できる。
私は、この考えに賭けた。
色々な整体を試した結果、たどり着いたのが「磯谷式力学療法」。親が偶然磯谷氏の本を図書館で見つけ、借りてきてくれた。
当時、中野にあるマンションの一室で開業していた。
股関節が外側に捻転することによって、左右の足の長さに差が出る。それが骨盤を傾かせ、腰に負荷が掛かる。
分かりやすい。ヒジョーに分かりやすい。実際、私の左右の足の長さの違いを見せてくれる。(往診をしてくれた例の整形外科医にこの違いをいくら説明しても、見ようともしなかった。)
治療方法はここでは詳しく触れないが、股関節を内側にはめ戻し、その状態を維持できるよう拘束をしたり、矯正運動をするというもの。股関節を戻すときに「コンッ」という音がすれば成功。アーラ不思議、左右の足の長さが一致する.....ってえ仕掛け。
その矯正運動がヘンテコ。初めて見た人はちょっと引いてしまうかも。でもすぐに元に戻ってしまう。そこからの努力は大変なものだ。だが、私にはこれが一番効果があった。
いまでは、股関節が外れていると、自分で元に戻すことが出来るようになった。
ヘルニアによってブロックされていた神経の回路が戻り、力が入らなかった足の親指にもパワーが戻った。
最終的には、出ッ尻、鳩胸にするのが目標と言われた。要するに背骨にS字カーブをつけること。
いまも中野に治療院が生き残っているかは知らないが、私はこの磯谷式に助けられたといえるだろう。ヘルニアは出たままだし、腰椎はズレたままだが、少なくとも手術せずに30年近くを逃げ切っている。この整体の効果について、今は当時に比べもう少し世間の認知度が深まっていると期待したい。

インターネットで磯谷氏を検索したら、もう故人になっていることが分かった。ソリャそうだ、初めて会ったときには既に頑固なジイサンであったから。
人生の半分以上を腰痛と付き合っている人間として、深い感慨を覚えてしまう。

腰痛の話題だけで、別のブログがオープンできるくらいなので、この辺で止めにして、次は自分なりに考えた腰痛とフィットネスの関係論を展開してみることにする。........to be continued.

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