・・・・・・・・っということで、定年退職になったT先輩の送別会をした。
私がこの会社に入ったときに、最初に世話になった人だ。
不思議な人だった。
会社人生の2/3は海外で生活していたことになる。
コアラのような顔で、髪の毛は薄いのに、女性によくモテた。
奥さんは、美人でよく出来た人だ。
マージャンが好き、タバコが好き、女性が好き、読書が好き、海外を放浪するのが大好き。
なのに、酒は一滴も飲めない。
日本人には珍しく、「大陸的」な性格の持ち主だった。
仕事は手堅く、どんな困難なことでも安心して任せられる。
そのくせ、出世欲は一切ない人だった。
一言でいえば「人望」があった。
今日の送別会も、社長の主催だ。
彼は私のよき理解者だった。
一匹狼のような私の生き方を、唯一分かってくれていた。
送別会がお開きとなり、最後に彼と二人きりになった。
「もう会うことがないような気がします。お元気で。」
・・・・っと言って、握手をした。
硬い握手だった。
彼とは、これが最後のような気がした。
間違いなく、これが最後だろう。
そういう男だ、彼は。
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