2012年9月11日火曜日

ネクラの太田選手

 ・・・・・っということで、このクラブに入会して52日目だ。

なんでそんなに細かいことが分かるかというと、このフィットネスクラブが運営するネットのサイトに登録すると、個人のワークアウト経歴を管理したり、各店のスケジュールとか、代行の情報など、簡単に入手できるのである。

いろいろなフィットネスクラブに入会したけれど、このクラブのシステムは一番進んでいる。

今の時代、このくらいのサービスは各クラブ真剣に研究して欲しい。

・・・・・・・

えっと、何を書きたかったんだっけ?

そうそう、このクラブにおける「ベーシックステップII」を制覇したいと考えたのだ。

ベーシックステップIIとは、所謂「初中級ステップ」の意味である。

前回「子豚ちゃんステップ」で、甚くプライドを傷付けられたぼくは、

それなら、このクラブの「ベーシックステップII」を制覇してやろうじゃないか。

このクラブの初中級のクラス分け基準の実態を暴こうと考えたのだ。

そこで利用したのが、このクラブの運営する「かんたんスケジュールチェック」機能だ。

本日のベーシックステップIIをやっているクラブは・・・・・

ってな具合で、簡単に検索できるのである。

・・・・・・・

ありました。

・・・・・・・つづく。



 ・・・・・っということで、ネクラの太田選手のベーシックステップIIに参加した。

こう見えても、お地蔵さんになるのは抵抗がある。

多少はステップに自信を持っているからだ。

お地蔵さん状態に追い詰められたとき、

「60歳の爺だから出来なくて当たりまえじゃん、あはっはっぁ~~」

ってな、逃げ口上は出来るだけ使いたくない。

これがジジイのイジっていうものだろう。

・・・・・・・

そこで、万全を期するために、彼のベーシックステップIIの前にあった、ベーシックエアロIIのクラスを外から見学したのだ。

外から見る限り、それほど難しくはないエアロビクスだ。

音楽のBPMもそれほど早くはない。

キューの出し方も、親切だ。

・・・・・・・

これなら彼のステップIIも難しくはないな

っと、ぼくは判断したのだ。

すべてはぼくのプライドが傷つかないための、偵察なのだ。

ホンマ、めんどくせぇ~ジジイだな。

・・・・・・・つづく。



 ・・・・・っということで、このシリーズの「太田選手」とは、あのフェンシングの太田 雄貴選手のことである。

彼は、彼に風貌がそっくりなのである。

・・・・・・・

そして、いよいよ彼のベーシックエアロIIが終わって、今回参加するベーシックステップIIの開始だ。

だが、ちょっと引っかかった。

・・・っというより、かなり引っかかった。

ベーシックエアロが終わって、彼は参加者のおばさん二人に捕まったのだ。

スタジオの出口で、その二人と延々と談笑している。

一方、レッスンが終わったあとのスタジオでは、ある女性がモップがけを一人でしている。

彼女は、決してスタッフではない。

痩せっぽちの女性で、どう見ても会員のようだ。

それを完全に無視して、彼はおばさん二人と話し続けている。

そして、モップがけを終わった痩せっぽちの女性は、次のステップクラスのために、倉庫からステップ台を一つだして、正面のインストラクター席に置いた後、スタジオを出たのだ。

そのとき、彼女はオバサン二人と談笑を続けるインストラクターに頭を下げて出て行ったのだ。

彼は、アタリマエのような顔をして、スタジオに戻り、時間をかけてデッキを調整したのだ。

・・・・・・・

なんか変。

昔、こういう光景を見たことがある。

信者がかいがいしくインストラクターの世話をし、インストラクターはそれを当たり前のように受け取るのだ。

・・・・・・・

なんか、イヤな予感。

・・・・・・・つづく。

 ・・・・・っということで、例によって、例のごとく、スタジオに入る前にインストラクターに質問しました。

「難しいですか?」・・・・・って。

それに対する彼の答えは、ちょっと意外であった。

「難しいです」

・・・・・・・

この答えを聞いて、あちゃぁ~~、

このクラブに入会して、この答えを聞いたのはこれが2回目である。

最初に聞いたのが、Y・M嬢のベーシックステップIIだった。

必死に食らいついたものの、難しかった。

そして、いやな思い出「子豚ちゃんステップ」が頭をよぎった。

また、お地蔵さんかよぉ・・・・・・・

・・・・・・・つづく。


 ・・・・・っということで、この時間既にかなり酔っ払っています。

・・・・・・・

そして彼は言いました;

「私のステップは皆から難しいと言われますねぇ~」

「自分では難しいと思っていないんですが・・・・」

「まあ、付いて来られなくなったら、その場で足踏みしてください。」

・・・・・・・

こう言われたら、あなたならどうします?

気持ちが萎えてしまいますよね。

ぼくは、いつもの答えを言いました;

「下手くそなので、無視してください。」

・・・・・・・っと。

そして、スタジオがオープンになって、皆が争って中心線に台を置いていった。

そう、難しいステップクラスは中心線から埋まっていくのが常だ。

ぼくは、最前列端っこの右大臣席に台を置いた。

後から来たオバサンが、異常にぼくの台の後ろに接近して台を置いた。

ハハァ~~ン、ぼくの席はこのオバサンの指定席だったことが分かる。

何食わぬ顔をして、意地悪だよねぇ。

・・・・・・・つづく。


 ・・・・・っということで、ほぼ満員のスタジオ内を見渡してみる。

不思議だ。

難しいステップクラスに必ずいる、場違いのいかにも上手そうな若造が一人もいないのだ。

そして、オバサン率が高いのだ。

上手いステッパーは見かけでは分からない。

こんなオバサンがという風貌でも、スッゲぇー上手だったなんていう例はザラにあるのだ。

それにしても、あまり上手そうな参加者はいないのだ。

心が乱れる。

・・・・・・・っで、いよいよ始まりました。

テンポが遅い。

難しいステップはウォームアップから異常に早いのが普通だ。

ウォームアップで付いていけないこともザラだが、そうでもない。

・・・・・・・

いつ難しくなるのか。

ぼくは緊張しっぱなしだった。

・・・・・・・つづく。


 ・・・・・っということで、ホント緊張していたんですよ。

いつ難しくなるかって。

・・・・・・・

どんどんレイヤリングをかけて進みます。

確かに、初級じゃないレベル。

でも、彼が繰り出して来るステップはごく普通であり、特に目新しいものはないんです。

ぼくは、その普通のステップがいつ、変身して牙を剥きだすのか、ヒヤヒヤしながら付いていったのです。

でも、最後まで牙を剥くことはなかったのです。

そのうち周囲の参加者を見る余裕も出来てくる始末。

・・・・・・・

なんじゃ、緊張して損した・・・・って正直なところ思ったんです。

どこが難しいの?

ふつぅ-じゃん。

そう思っても、態度に出しちゃいけません。

ぼくだって、それくらいは分かります。

でも、彼は違ったようなのです。

・・・・・・・

レッスンが終わって、スタジオを出るとき、

ぼくは満面の笑顔を見せながら、

「緊張しましたよぉ~」っと彼に言ったのです。

すると、彼はぼくと視線を全く合わさなかったのです。

聞こえなかったのかなぁ~

・・・・・っというのが、彼のあだ名の「ネクラの太田選手」の由来なのです。

ちなみに、彼のクラスには今後参加するつもりはありません。

ホント、残念なことです。


P.S. あのかいがいしくモップがけをしていた痩せっぽっちの女性も、ステップクラスに参加していました。

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